アートをめぐる旅

パリ・ワシントンDCで暮らした共働きの転勤族が、歴史・文化・芸術・自然をめぐる旅をしています。

パフォーマー☆北斎展/すみだ北斎美術館(妹島和世建築)  

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10年ぶりに降り立ったJR両国駅は、立派な観光地に様変わりしていました。改札で迎えてくれたのは、力士たちの大きな全身写真。いきなり出現した大相撲ワールドに面食らいながらも、駅舎内に昨冬オープンした江戸情緒あふれる飲食店街と観光案内所の魅力に屈して、まずは名物『深川あさり飯』で腹ごしらえ。気を取り直してすみだ北斎美術館を目指します。

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ライトグレーの輝きはフランスのルーヴル美術館ランス別館(SANAA設計)に似て

普通、美術館の周辺にはそれらしい雰囲気が漂っているものですが、そこは下町。妹島和世設計のクールな建築が、生活感たっぷりの公園に唐突な感じで建っています。

「開かれた」美術館というコンセプトは、西沢立衛との建築ユニットSANAAが設計した金沢21世紀美術館と同じでありながら、この狭い土地でそれを実現するのは相当困難であったことを、足を踏み入れるなり感じました。

4階建てにして、一部階段が使えないためエレベーター前には常時行列ができ、レストランやカフェもなく、ミュージアムショップも休憩用ソファも最小限。世界で最も知られた日本人アーティストの名に比して、予想外のコンパクトさが印象に残った美術館でした。外国人観光客の姿もちらほら見えましたが、彼らががっかりしていないことを祈るばかり・・・




今回の企画展 “パフォーマー☆北斎”では、自らの『北斎漫画』宣伝のために、大勢の観客の前で120畳敷の巨大ダルマを描くエンターテイナーとしての北斎に光があたります。工房にこもってひたすら絵ばかり描いていたのかと思いきや、バイタリティもサービス精神も天下一品。茶目っ気たっぷりの人柄も伝わってくる展示でした。

ポスターの絵 『北斎大画即書引札』は、2006年春にワシントンDCのスミソニアン博物館のひとつアーサー・M・サックラーギャラリーで開催された“HOKUSAI”展にも展示されていたもの。”雷神図”、“赤富士(凱風快晴)”、“冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏”を鑑賞するアメリカ人の熱気は今も忘れられません。

64年にわたって刊行された全15編からなる『北斎漫画』も見どころのひとつ。関西旅行の途中立ち寄った名古屋で描かれた初編が、名古屋の版元から刊行されたことや、それらは門人や全国に散らばる私淑者に向けた絵手本であったこと、「冨嶽三十六景」などの浮世絵より先に西洋へ伝わったことなど、意外な事実を次々と知ることになりました。

アメリカでは「ホクサイ スケッチ」、フランスでは「ホクサイ デッサン」として古くから知られる『北斎漫画』。動植物や躍動感あふれる人々の姿をはじめ森羅万象を描いた図柄は約3900余り。目がさめるほど鮮やかな表現力は、見ているだけで楽しい気分にさせられます。早速、行きつけの図書館で歴史を紐解き、美術館で見たりなかった北斎の世界に浸った秋の連休となりました。

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ライデンのシーボルト博物館にはシーボルトが持ち帰った、ありとあらゆるものがありますが、『北斎漫画』は十編まであります。(中略)その十冊は、今も手が切れるようなきれいな状態で残ってるんです。

北斎漫画、動きの驚異
藤 ひさし 田中 聡
河出書房新社 (2017-02-28)

category: 東京

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