アートをめぐる旅

パリ・ワシントンDCで暮らした共働きの転勤族が、歴史・文化・芸術・自然をめぐる旅をしています。

安倍文殊院で快慶作 渡海文殊に出会う  

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奈良県桜井市にある安倍文殊院に行ってきました。鶴橋駅から近鉄大阪線(急行)で桜井駅まで37分。談山神社を訪れたときもこの駅からバスに乗ったのですが、今回も便数が少なくて待ちぼうけ。乗車時間は10分弱でも、夏のように暑い日は無理に歩かない方がよさそうです。朱色の門をくぐると新緑が眩い長寿道がL字に伸びて、正面に本堂、右手に文殊池が広がります。

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安倍(阿倍)仲麻呂や 安倍晴明を祀る金閣浮御堂・霊宝館

645年、大化の改新の年に安倍氏の氏寺として創建された安倍文殊院は、遣唐使の安倍(阿倍)仲麻呂や平安時代の陰陽師 安倍晴明の出生地であり、陰陽道源流寺院として魔除け・災難除けの寺として信仰を集めています。

そして 『三人寄れば文殊の智慧』の格言で知られる文殊菩薩がご本尊の日本三大文殊第一霊場でもあります。さまざまな菩薩のなかで最も優れた智慧を持つ文殊菩薩は、年末から春先にかけて学業成就・合格祈願の人々で大人気。もうちょっと頭の回転をなんとかしたい私にもぴったりです。仏像鑑賞と頭脳明晰祈願、ひと粒で二度おいしいお寺めぐりです^^

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拝観は、お茶・お菓子つき

今回のお目当ては、その 国宝 渡海文殊(快慶作)。先日の『快慶展』が素晴らしかったので、展覧会場でいただいた鑑賞者限定割引券を早速有効活用することに。以前から気になっていたお寺だけに 「今のうちにしっかり観ておきなさい」と文殊さまに呼ばれたのかもしれません。まずは控えの間にて、智慧のお抹茶とお菓子で一服。落雁には陰陽道の五芒星が浮きあがり、体のなかから厄除け完了。いざ、堂内へ!

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『快慶展』鑑賞者限定の拝観料1割引券つきチラシ^^

・・・ 想像をはるかに上回る大きさと迫力でした。
まるで体育館のように天井が高いお堂のつきあたりに、スポットライトを浴びて舞台俳優のように並ぶ渡海文殊菩薩群像。唐獅子に乗った文殊菩薩を中央に、維摩居士や善財童子など4体がつき従っています。5像すべてが国宝で、高さ7メートルの渡海文殊はヒノキの寄木造り。唐獅子だけで重さは1トンといいますから、快慶展に出陳できないのもうなずけます。渡海文殊の海とは、大西洋でも太平洋でもなく雲海のこと。海を渡って人々を救いにでる旅の姿を表しているのだそうです。

これまでいろいろな仏像を観てきましたが、関西仏像めぐりマイ・ベスト10にランクイン。今にも関西弁をしゃべりだしそうな唐獅子のチャーミングな柄の悪さと、このうえなく知的でクールな文殊菩薩のコントラストがえもいわれぬ魅力を生んで、ある種の驚きを観る人に与える素晴らしい作品でした。

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天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも  安倍仲麻呂

ついに唐から帰ることは叶わなかった安倍仲麻呂の望郷の詩。古代の海外赴任が命がけだったことを考えると、想像を絶するほどの深い想いが一語一語に込められていることを感じます。書は榊莫山。






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