アートをめぐる旅

パリ・ワシントンDCで暮らした共働きの転勤族が、歴史・文化・芸術・自然をめぐる旅をしています。

正倉院宝物に魅せられて~世界遺産 東大寺・聖武天皇陵・正倉院宝庫 ~  

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聖武天皇の発願により創建された東大寺 盧舎那仏像

奈良の秋の風物詩『正倉院展』に行ってきました。
聖武天皇の遺愛品など約9000点の宝物のなかから今年は64件が出陳。国際色豊かな天平文化の花をひと目見ようと、会場の奈良国立博物館入口は長蛇の列、展示室の熱気も相当なものでした。

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今年の見どころは、ポスターにもなった鳥の頭をかたどったペルシャ起源の水差し「漆胡瓶(しっこへい)」。古くから謎とされてきた製法が最近になって判明し、NHKの日曜美術館でその巻胎(けんたい)の技法が解説されていました。

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東大寺大仏殿

その他、聖武天皇一周忌斎会を飾った全長15メートルほどの大幡(飾り布)や植物の形をした金工の鈴、象牙を着色した鳥形、そして初出陳の貨幣和同開珎など多種多様な宝物に最後まで興奮状態。写真だと捉えきれない、なんともいえない手仕事のぬくもりがほんとうにいいんです。高度な技法、高い美的センス、それでいてなにかこうあたたかい。1200年以上前に確かに生きた人々が宝物の向こうに透けて見えるような気がしました。

それにしても、9000点の宝物が毎年60数点ずつ出陳されるとして、単純計算ですべて鑑賞するのに140年!願わくば常設の正倉院美術館を。といっても、公開より保存に重きを置く日本では、このペースが限界なんでしょうね。

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741年から750年の間に建立されたと推定される正倉院宝庫

正倉院展があまりに素晴らしかったので、本物の正倉院宝庫を見てきました。
場所は東大寺大仏殿の北西、正倉院展開催中は外構を一般公開しています。かつて大寺院などには重要な物品を納める「正倉」があり、正倉のあるエリアを「正倉院」と言っていたそうです。それが時を経て東大寺の正倉院だけが残り、今では固有名詞に。現在、宝物は鉄筋コンクリート造の別の宝庫に納められています。宝庫の開閉は天皇の許可が必要な「勅封」制度によって厳重に管理。入口には宮内庁の看板がかかっていました。

南北33メートルの宝庫は、北倉(ほくそう)・中倉(ちゅうそう)・南倉(なんそう)と三室に分かれており、最も由緒ある聖武天皇遺愛の品は北倉に納められています。奈良時代の宝物が21世紀に伝えられた奇跡は、厳重な管理と、火災や戦乱などで失われることがなかった恐るべき強運のおかげ。大仏が何度も焼け落ちたことを考えるとなおさらそう思います。

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聖武天皇陵

東大寺から西へ、かつての平城宮へ向かってまっすぐ伸びる大路を歩いて聖武天皇・光明皇后陵へ。巨大な盧舎那仏を建てて国家の安寧を願うほど社会不安が増大していた時代に、海外からの文物を受け入れ、優美な文化を開花させた聖武天皇。そして、夫亡きあと、後世に伝えるべく遺愛の品を大仏に献納することで正倉院宝物の礎を築いた光明皇后。「遺品を見ると悲しくて心が壊れてしまいそう」と書きのこした妻の想いが、1200年後の世界に受け継がれている奇跡に胸が熱くなりました。



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