アートをめぐる旅

パリ・ワシントンDCで暮らした共働きの転勤族が、歴史・文化・芸術・自然をめぐる旅をしています。

【奈良の世界遺産】 元興寺 ~Journey to Paradise(浄土への旅立ち)~  

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台風の影響で連日厚い雲に覆われている近畿地方。
雨天の連休でソンした気分の私をよそに 『雨の奈良って風情ありそうじゃない?』などと言って地図を広げる夫。歩いた道をペンでなぞってよろこんでいる私のせいで、赤い線が増殖しつつあるページをのぞきこんだら、確かにそんな気がしてきた!

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国宝 元興寺 極楽坊本堂

奈良の世界遺産といえば、東大寺や春日大社、唐招提寺などのビッグネームが思い浮かびますが、元興寺と聞いてピンとくる人はそう多くないことでしょう。元興寺と書いて『がんごうじ』、読み方すらはじめて知りました。

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境内には萩や桔梗、かりんの実もたわわ。セクシーな子鬼の像も見逃せません^^

一見したところ、目を引くような特徴もないいたって普通のお寺。ですが、平城京遷都の折に日本初の官寺、飛鳥寺が移築されたモニュメンタルな場所なのです。往時の敷地は猿沢池からならまちの大部分を含む広大なもので、極楽堂の屋根には飛鳥時代の瓦が一部使われているのだそう。奈良の大仏のようなビジュアルのインパクトには欠けますが、想像力が試されるこんなマニアックな世界遺産も味わい深いものです。

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アムステルダム国立美術館 聖徳太子二才像


こちらは、2015年にオランダひとり旅で出会った聖徳太子二才の像です。膨大な収蔵品を誇る巨大美術館のなかで、レンブラントの『夜警』に次いで、なぜかこの作品に惹かれました。このときの私は、わずか1か月後にパリから大阪へ引っ越すなんて夢にも思わなかったわけですが、関西のお寺をめぐるうちに、いく度となく聖徳太子二才像が私を出迎え、人生の不思議をしみじみと感じることになります。

そしてここ元興寺でも、二才像のみならず『聖徳太子十六歳 孝養像』がクールな視線を投げかけてくれました。まるで待っていたぞと言わんばかりに。

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元興寺の前身、蘇我馬子が建てた日本初の官寺、法興寺(飛鳥寺)

ただひとつ残念なのは、説明板の多言語化が不十分だったこと。英語ですら一部の展示物のみに付されているだけで、現状でインバウンドの方々の心を打つことは難しいと感じました。

そんななかでも、元興寺の寺宝 ‟本尊 厨子入智光曼荼羅(重要文化財)” 特別公開と‟極楽坊縁起絵巻(全二巻)”の絵解きはなかなかのもので、極楽を描いた曼荼羅が絶大な浄土信仰に結びついた末法思想の空気を少しだけ感じられた気がします。

それにしても、英語版の説明に目を通すと、思わず笑ってしまうような斬新な表現と出会えるのが密かな愉しみで、「浄土への旅立ち」が、ジャーニー・トゥ・パラダイス、このお寺がパラダイスへのエントランス(入口)だと書かれていたのには愉快な気分になりました。そんな訳でいいのかどうかはさておき、なんだかロックの曲名みたいですよね。

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そして、奈良を訪れて毎回感動するのが、農産物の豊かなこと。
直売所に並ぶ新鮮でお手頃価格の野菜や果物、古代米などの穀類、それらを使って作られた安心素材のスイーツなど、身体にうれしい食べ物があふれていて、これを目当てに奈良に住むのもいいんじゃないかと本気で思うほどです。医食同源、地産地消・・・古代人の普通の暮らしが今に息づく奈良の魅力を知ることができたのは、転勤人生の収穫のひとつです。

JR西日本 元興寺




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