アートをめぐる旅

パリ・ワシントンDCで暮らした共働きの転勤族が、歴史・文化・芸術・自然をめぐる旅をしています。

ラン(Laon)の初期ゴシック大聖堂で聖遺物を拝観  

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聖人の遺骨が納められた聖遺物箱の数々

こんなに大量の聖遺物を一度に見たのは初めてです・・
ここは、パリから北東へ140km、ピカルディー地方エーヌ県の町ラン(Laon)のノートルダム大聖堂内の一室。聖遺物とは、キリストや聖人たちの遺骨や遺品の一部で、それ自体が信仰の対象となるほど聖性の強いものとされています。最も価値の高い聖遺物といえば、キリストが磔刑の際にかぶった茨の冠や、手足を十字架に打ち込んだなどで、それらは権力者によって莫大な価格で取引されていました。所有する聖遺物の格が大聖堂や教会の格を決め、権力者の力を示すアイテムでもあったのです。そして、聖遺物を収納するための贅を尽くした聖遺物箱がつくられ、役目を終えたそれらは、ルーヴル美術館をはじめとする多くの美術館に展示されています。

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「御神体」としての聖遺物の機能には、所有者の権威づけのほか、信者がそれに触れることで病気や怪我が治るというマジカルなものもありました。なんだか病院のようですが、実際この大聖堂の隣に、フランス最古の建造物のひとつとされる施療院(病院の前身のようなもの)があり、現在は観光案内所となっています。慈善施設としての性格を持っていた施療院、フランス語では“Hôtel-Dieu(神のいる場所)”といいますが、今でも古くからの病院のことを同じようによんだりします。住んでみてはじめてわかるキリスト教の世界ってまだまだたくさんありそうです。

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人口26,000人の小さな町にミシュラングリーンガイド2つ星がつく所以は、この大聖堂が1230年頃完成したフランスで最も古いゴシック建築のひとつであることがあげられます。エレガントなフランボワイヤン様式(炎のような模様の彫刻)が興る前のシンプルな西側正面には、ロマネスクを彷彿とさせる彫刻が施されています。なんとフランスでは、12世紀後半から13世紀後半までに約80ものゴシック大聖堂が建設されたそうです。治世でいえばフィリップ・オーギュスト(在位1180~1223)の時代。そうです、フランスの領土を一気に広げ、ルーヴル美術館内部に残る要塞を建造した尊厳王です。ゴシック様式がパリを中心に伝播していったことは、現存するゴシック大聖堂の所在地からも推察できます。ロマネスク聖堂の多くがサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路沿いに建てられたのとは違って。

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13世紀建造のソワソン門(La porte de Soissons)

見事な高台の上に築かれたランの歴史は古く、西フランク王国のカロリング朝時代、シャルル2世禿頭王(在位843-877)を筆頭に、シャルル3世単純王、ルイ4世渡海王、ロテール、ルイ5世(在位986-987)と100年以上にわたり王の宮殿が置かれました。(ルイ5世死去後はカペー朝をひらいたユーグ・カペーの手に渡ります。)町を囲む城壁はフィリップ・オーギュストの時代に築かれ、いまなおその多くを目にすることができます。

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天然の要塞、高台の町からの夕焼けは美しすぎました・・


Office de Tourisme du Pays de LAON

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