アートをめぐる旅

パリ・ワシントンDCで暮らした共働きの転勤族が、歴史・文化・芸術・自然をめぐる旅をしています。

国宝目白押し!女人高野 室生寺で森林浴  

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奈良県宇陀市にある室生寺に行ってきました。
大阪上本町駅から近鉄大阪線で1時間、三重県との県境にほど近い室生口大野駅で下車したら、なんだか中学時代の高原学校を思い出しました。緑が濃くて空気がきれい!そこからバスで15分、室生川沿いのバス停で降りると山は目の前。昔ながらのお土産屋さんがポツポツと立ち並ぶ通りを歩いていくと、左手に朱色の太鼓橋が見えてきます。

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奈良時代の末期、のちの桓武天皇の病気平癒祈願が興福寺の高僧によって行われ、効果があったことから勅命により創建された室生寺。真言宗の聖地 高野山がかつて女人禁制だった頃、女性にも門戸が開かれていたこの寺は女人高野としても尊崇を集めてきました・・・ とさらっと説明すれば、ふーんで終わりそうですが、電車もバスもない時代に女性の脚でここまで?実際に自分で来てみたから感じることですが、これは相当困難で危険な道のりだったはず。うぅ、恐ろしい・・・

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9世紀後半建造の金堂(国宝)

『山川 詳説日本史図録』には、平安時代の弘仁・貞観文化として室生寺の国宝建築や仏像の写真がふんだんに使われた、まるで広告のようなページがあり、旅行ガイドより詳細かつ質の高い情報がぎっしり。応仁の乱の火の手もさすがにここまでは及ばなかったから、平安時代の建築や仏像が奇跡的に残されているのです。こちらの金堂も、鎌倉、江戸時代と手が加えられながらも、シンプルな構造でものすごい風格。

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金堂内部の国宝仏たち


参道の食堂に貼ってあった近鉄のポスターです・・・
簡素な金堂の内部に国宝仏が並ぶさまは壮観!のひと言。実際はお堂のなかには入れないので、こんなに近づいて観ることはできません。だんだん暗さに目が慣れてくると、平安前期につくられた一木造の仏像がまるで意志を持ってそこに立っているように感じます。2mを超えるご本尊の釈迦如来はゆったりと珍しい漣波式衣文をまとい、十一面観音立像は華やかな瓔珞(装身具)を身につけています。遠目からでもわかる洗練された彫刻の技に思わずため息。流れるような曲線のなんと美しいこと!

お顔はどちらも和風ですが、板地の光背に施された鮮やかな色彩やデザインがどことなく大陸めいて、空海が唐から真言宗を持ち帰った頃の空気をほんの少しだけかいだ気がしました。1000年以上の時を経て、人々の祈りは、祈りの対象物を本物の仏にしたのでしょう。豪華な厨子がなくともこれだけ神々しくあれることに驚きすら感じます。身じろぎしない仏像の前で軽やかにポーズを決める十二神将も必見。静と動の絶妙なコンビネーションになにやら自由な気分にさせられました。

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そして、またも山登り!
室生山のふもとから中腹へむかって弥勒堂、金堂、本堂と少しずつのぼりながら参詣をしていく山岳寺院のスタイルで、五重塔から奥の院へは修行にちょうどいい感じの石段が延々と続きます。はぁはぁしていると杉とヒノキのい~香りがアロマテラピーのように全身に作用して、気持ちよくゴールに到着。木立の間からすばらしい眺めを楽しむことができました。

関西に住むまでは、仏像めぐりとかお遍路さんに、失礼ながら枯れた印象を抱いていましたが、まったくの間違いでした。実はものすごく体育会系。すれ違う人たちもとってもアクティブ!一時期、山ガールが流行りましたが、これからは寺ガールの時代かもしれません。カッコいいウェアを着てグループでのぼっている人たちも多くいて、関西の休日の豊かさを心から羨ましく思います。あと1年くらい転勤が延長になれば最高なんですけどね^^

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帰りは名物よもぎ餅を食べながら。
保存料など添加物を一切使わない自然の素朴な味でした。




室生寺
室生寺
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安倍文殊院で快慶作 渡海文殊に出会う  

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奈良県桜井市にある安倍文殊院に行ってきました。鶴橋駅から近鉄大阪線(急行)で桜井駅まで37分。談山神社を訪れたときもこの駅からバスに乗ったのですが、今回も便数が少なくて待ちぼうけ。乗車時間は10分弱でも、夏のように暑い日は無理に歩かない方がよさそうです。朱色の門をくぐると新緑が眩い長寿道がL字に伸びて、正面に本堂、右手に文殊池が広がります。

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安倍(阿倍)仲麻呂や 安倍晴明を祀る金閣浮御堂・霊宝館

645年、大化の改新の年に安倍氏の氏寺として創建された安倍文殊院は、遣唐使の安倍(阿倍)仲麻呂や平安時代の陰陽師 安倍晴明の出生地であり、陰陽道源流寺院として魔除け・災難除けの寺として信仰を集めています。

そして 『三人寄れば文殊の智慧』の格言で知られる文殊菩薩がご本尊の日本三大文殊第一霊場でもあります。さまざまな菩薩のなかで最も優れた智慧を持つ文殊菩薩は、年末から春先にかけて学業成就・合格祈願の人々で大人気。もうちょっと頭の回転をなんとかしたい私にもぴったりです。仏像鑑賞と頭脳明晰祈願、ひと粒で二度おいしいお寺めぐりです^^

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拝観は、お茶・お菓子つき

今回のお目当ては、その 国宝 渡海文殊(快慶作)。先日の『快慶展』が素晴らしかったので、展覧会場でいただいた鑑賞者限定割引券を早速有効活用することに。以前から気になっていたお寺だけに 「今のうちにしっかり観ておきなさい」と文殊さまに呼ばれたのかもしれません。まずは控えの間にて、智慧のお抹茶とお菓子で一服。落雁には陰陽道の五芒星が浮きあがり、体のなかから厄除け完了。いざ、堂内へ!

渡海文殊
『快慶展』鑑賞者限定の拝観料1割引券つきチラシ^^

・・・ 想像をはるかに上回る大きさと迫力でした。
まるで体育館のように天井が高いお堂のつきあたりに、スポットライトを浴びて舞台俳優のように並ぶ渡海文殊菩薩群像。唐獅子に乗った文殊菩薩を中央に、維摩居士や善財童子など4体がつき従っています。5像すべてが国宝で、高さ7メートルの渡海文殊はヒノキの寄木造り。唐獅子だけで重さは1トンといいますから、快慶展に出陳できないのもうなずけます。渡海文殊の海とは、大西洋でも太平洋でもなく雲海のこと。海を渡って人々を救いにでる旅の姿を表しているのだそうです。

これまでいろいろな仏像を観てきましたが、関西仏像めぐりマイ・ベスト10にランクイン。今にも関西弁をしゃべりだしそうな唐獅子のチャーミングな柄の悪さと、このうえなく知的でクールな文殊菩薩のコントラストがえもいわれぬ魅力を生んで、ある種の驚きを観る人に与える素晴らしい作品でした。

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天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも  安倍仲麻呂

ついに唐から帰ることは叶わなかった安倍仲麻呂の望郷の詩。古代の海外赴任が命がけだったことを考えると、想像を絶するほどの深い想いが一語一語に込められていることを感じます。書は榊莫山。






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