アートをめぐる旅

パリ・ワシントンDCで暮らした共働きの転勤族が、歴史・文化・芸術・自然をめぐる旅をしています。

はじめます!スニーカー通勤 ~スポーツ庁『FUN+WALK PROJECT』始動~  

indigo353.jpg

待ってました!政府推奨スニーカー通勤!!
すでに自主的に始めている私としては、時代が遅れてついてきた感を覚えつつ、この秋の一足を新調してみました。一度スニーカー通勤の快適さを知ってしまったら、もうあと戻りできません・・・

LOGO_white_yoko.jpg
“歩く”をもっと“楽しく”『FUN+WALK PROJECT』開始 スポーツ庁 2017年10月2日発表

あれは忘れもしない、6年前の東日本大震災・・・
当時勤めていた虎ノ門から徒歩帰宅を諦めて職場に泊まる選択をしたのは、その日履いていたのがヒールの革靴だったからでした。

まだ寒い3月の夕方、黒い人波が無言で移動する桜田通りの異様な光景のなかで、職場に留まるか帰宅するかを思案しながら、もしかしたら運命を分けるかもしれないこの選択が 『靴』ごときに左右されることが、とても馬鹿らしく同時に怖ろしいことだと心底感じたのを覚えています。

その後、夫のパリ赴任が決まり、退職した私は、引っ越しのためもあって仕事用の靴をいさぎよく処分し、スニーカーで生活するようになりました。すると、会社員時代に悩まされた数々の身体の不調が嘘のように消え、劇的に健康になったのです。

冷静に考えれば、毎日片道1時間の通勤で4回も電車を乗り換えるために、階段を下りたりのぼったり、ときには遅刻しそうになって走ったり、まるでジムで鍛えるかのごとき身体活動を、あんな窮屈な靴で何年も続けていたなんて、まったく狂気の沙汰としか言いようがありません。身体が悲鳴をあげるのも無理もない話です。

幸い、現在の職場は通勤時間も短く、国際色豊かな研究組織ということもあり、服装は比較的自由。スーツを着ている人もほとんどいないリラックスした環境です。外見を飾るより中身の充実に重きを置く人々が多く、今のところスニーカー通勤に何の支障もありません。(職場のロッカーに革靴は常備して履き分けています)

国民の健康増進を図る官民連携プロジェクト 『FUN+WALK PROJECT』、本格開始は2018年春からとのことですが、プレミアムフライデーと同じ轍を踏まないよう祈りたいと思います。


変化の担い手になるのは、企業でもなければ政府でもない。煎じ詰めれば、その担い手は私たちだ。(中略) 多くの人が行動を起こし、議論することによって生まれるのは、生産的な人生を送るための新しい模範的なモデルではない。柔軟性と個人の自由を求める思いが人々に共有されるようになるのだ。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
東洋経済新報社 (2016-10-21)
売り上げランキング: 420

スポンサーサイト

category: 東京

tb: 0   cm: 0

パフォーマー☆北斎展/すみだ北斎美術館(妹島和世建築)  

HOKUSAI-the-performer-1.jpg


10年ぶりに降り立ったJR両国駅は、立派な観光地に様変わりしていました。改札で迎えてくれたのは、力士たちの大きな全身写真。いきなり出現した大相撲ワールドに面食らいながらも、駅舎内に昨冬オープンした江戸情緒あふれる飲食店街と観光案内所の魅力に屈して、まずは名物『深川あさり飯』で腹ごしらえ。気を取り直してすみだ北斎美術館を目指します。

HOKUSAI358.jpg
ライトグレーの輝きはフランスのルーヴル美術館ランス別館(SANAA設計)に似て

普通、美術館の周辺にはそれらしい雰囲気が漂っているものですが、そこは下町。妹島和世設計のクールな建築が、生活感たっぷりの公園に唐突な感じで建っています。

「開かれた」美術館というコンセプトは、西沢立衛との建築ユニットSANAAが設計した金沢21世紀美術館と同じでありながら、この狭い土地でそれを実現するのは相当困難であったことを、足を踏み入れるなり感じました。

4階建てにして、一部階段が使えないためエレベーター前には常時行列ができ、レストランやカフェもなく、ミュージアムショップも休憩用ソファも最小限。世界で最も知られた日本人アーティストの名に比して、予想外のコンパクトさが印象に残った美術館でした。外国人観光客の姿もちらほら見えましたが、彼らががっかりしていないことを祈るばかり・・・




今回の企画展 “パフォーマー☆北斎”では、自らの『北斎漫画』宣伝のために、大勢の観客の前で120畳敷の巨大ダルマを描くエンターテイナーとしての北斎に光があたります。工房にこもってひたすら絵ばかり描いていたのかと思いきや、バイタリティもサービス精神も天下一品。茶目っ気たっぷりの人柄も伝わってくる展示でした。

ポスターの絵 『北斎大画即書引札』は、2006年春にワシントンDCのスミソニアン博物館のひとつアーサー・M・サックラーギャラリーで開催された“HOKUSAI”展にも展示されていたもの。”雷神図”、“赤富士(凱風快晴)”、“冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏”を鑑賞するアメリカ人の熱気は今も忘れられません。

64年にわたって刊行された全15編からなる『北斎漫画』も見どころのひとつ。関西旅行の途中立ち寄った名古屋で描かれた初編が、名古屋の版元から刊行されたことや、それらは門人や全国に散らばる私淑者に向けた絵手本であったこと、「冨嶽三十六景」などの浮世絵より先に西洋へ伝わったことなど、意外な事実を次々と知ることになりました。

アメリカでは「ホクサイ スケッチ」、フランスでは「ホクサイ デッサン」として古くから知られる『北斎漫画』。動植物や躍動感あふれる人々の姿をはじめ森羅万象を描いた図柄は約3900余り。目がさめるほど鮮やかな表現力は、見ているだけで楽しい気分にさせられます。早速、行きつけの図書館で歴史を紐解き、美術館で見たりなかった北斎の世界に浸った秋の連休となりました。

■ 関連記事 ■
アーサー・M・サックラー・ギャラリー “HOKUSAI” / ワシントンDC
ルーヴル美術館ランス別館1周年 “民衆を導く自由の女神” がパリに戻ってきました!


ライデンのシーボルト博物館にはシーボルトが持ち帰った、ありとあらゆるものがありますが、『北斎漫画』は十編まであります。(中略)その十冊は、今も手が切れるようなきれいな状態で残ってるんです。

北斎漫画、動きの驚異
藤 ひさし 田中 聡
河出書房新社 (2017-02-28)

category: 東京

thread: アート - janre: 学問・文化・芸術

tb: 0   cm: 0