アートをめぐる旅

パリ・ワシントンDCで暮らした共働きの転勤族が、歴史・文化・芸術・自然をめぐる旅をしています。

アールヌーヴォーが美しいエリエル・サーリネンのヘルシンキ中央駅  

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ランタンを持つ4体の巨人像に目を奪われるヘルシンキ中央駅入口

旅立つまさに前日に予約した今回のホテルは、ヘルシンキから近郊電車で約20分のところにあるレッパヴァーラ(Leppävaara)という郊外の町にあり、ホテルから徒歩10分で鉄道駅があること以外何の情報も持たないまま、とにかくフィンランド入りした私。無計画にもほどがあると呆れられそうですが、ヘルシンキ市街の平均的価格のホテルがすべて満室だったためにした選択が、却って日常のフィンランドに触れる機会を与えてくれました。

4日間の滞在中、近郊電車で通勤するように利用したヘルシンキ中央駅は、建築家エリエル・サーリネン(1873-1950)によって設計された町のランドマークです。(4体の巨人像のデザインはエミル・ヴィクストロム)

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頽廃の薫りただよう19世紀末に興ったアール・ヌーヴォー(新しい芸術)様式の建築のなかでは、過剰な装飾を抑えた部類に入るシックなもの。主張しすぎない美しい曲線とクリーム色の花崗岩に映えるあたたかな色の照明は、極寒の冬を過ごすこの国の人々をほっとさせるぬくもりに満ちていました。量産に不向きであることや、その奇怪なデザインで短命に終わったアール・ヌーヴォーですが、自然豊かな北国にこんなにマッチするものかと意外の感に打たれました。

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右上 : ホテルから駅までの道のりは鳥のさえずりを聴きながらの森林浴タイム
左上 : レッパヴァーラ駅に停車した近郊線
左下 : さすがデザインの国!近郊線の内装はおしゃれで清潔
右下 : ヘルシンキ中央駅のホーム

例によって・・ 旅といえば鉄道でしょう!ということで、近郊線のご紹介です^^
空港の観光案内所で入手した路線図と公共交通機関乗り放題の “ヘルシンキカード” を持って乗り込んだ電車は、パリの近郊線(RER)とは何もかも違うあまりの清潔さとスタイリッシュな内装にびっくりしました。人と自転車が一緒に乗り込めるスペースの余裕と、人々の表情から感じるゆとり。この、パリや東京では味わったことのないなんとも言えない穏やかな雰囲気はどこから来るのでしょう?車窓からは森や湖が見えたりして、あ~心から羨ましいです!フィンランド。

ちなみに、ヘルシンキ中央駅の地下には有人の荷物預け所があり、北欧周遊などでの短時間の立ち寄りにも安心して利用できそうです。最終日に郊外のホテルをチェックアウトしてからフライトまでの間、私のスーツケースも3ユーロで預かってもらえました。

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ヘルシンキひとり旅 ウスペンスキー寺院とテンペリアウキオ教会  

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ヘルシンキのメインストリート、エスプラナーディ通りを港に向かって歩いていくと、前方の丘に赤茶色の建物が目に飛び込んできます。フランスでは見たこともない金のたまねぎ型をした屋根はまさしく東方の佇まい。1868年建造の西ヨーロッパ最大の正教会寺院ウスペンスキー寺院です。

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キリスト教の三大分流のひとつである東方正教会は、1054年、東ローマ帝国のコンスタンティノポリスとローマの総主教座が東西に分裂して以降、西方のローマカトリック教会に対して、オーソドックス(正)チャーチとして発展してきた歴史があり、大辞泉によれば神秘主義的性格をもつ点に特徴があるそう。

確かにキリスト教のカテドラルにしては金ピカ過ぎる祭壇とシャンデリア、ギリシャ十字をちりばめた多色装飾には、一種俗な香りがただよっています。カトリック教会の静謐にして荘厳な、まさに神と人が出会う場所という空気感とは趣を異にした初めて目にするタイプの寺院でした。

ところで、祭壇に描かれたキリストの左右に見える “XB” の文字、イースターエッグの装飾などで登場しますが、初めて意味が分かりました。ロシア語でキリストのことを 「ハリストス:Христос」、復活は 「ボスクレス:Воскрес」、よってこの二語の頭文字をとって “キリスト復活” を表すのです!ロシアでは復活祭の日の挨拶にもなっているそうですよ。

ウスペンスキー寺院
Kanavakatu 1 00170 Helsinki (入場無料)

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そしてこちらは、フィンランドの国教であり最も信者の多いフィンランド福音ルター派教会のテンペリアウキオ教会です。(1969年完成)キリスト教とひと口に言ってもさまざまな宗派があって、八百万の神の国から来た私などにはお手上げの世界ですが、宗教建築や装飾に表れる違いはやはり面白い。天然の岩をくり抜いて造られた教会は、ロックチャーチとも呼ばれ、その優れた音響効果からコンサートホールとしても活躍しています。

それにしても、キリストの存在を強調する金の祭壇よりこのダイナミックなむきだしの自然のなかでより近くキリストを感じられるような気がしたのは、私だけでしょうか?建物に入るなり思い浮かんだのは、聖書のなかの有名な一場面 “荒野の誘惑”。キリストが行った40日間の洞窟での断食は、多くの芸術作品のモチーフにもなりました。建築家がそれを意識したかどうかはわかりませんが、あらためて、宗教と芸術と建築は響きあいながら存在していることを実感した次第です。

テンペリアウキオ教会 TEMPPELIAUKION KIRKKO
Lutherinkatu 3, 00100 Helsinki (入場無料)

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