アートをめぐる旅

パリ・ワシントンDCで暮らした共働きの転勤族が、歴史・文化・芸術・自然をめぐる旅をしています。

【世界遺産】 ベルン旧市街とバーゼル、建築デザインをめぐる旅  

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世界遺産ベルン旧市街

11月11日(火)の第一次世界大戦休戦記念日の祝日を利用して、パリから車でスイスの首都ベルンバーゼル、そしてドイツのヴァイル・アム・ラインへ行ってきました。

片道600km弱の道のりは、雪の季節を目前にしたこのうえなくヨーロッパ的な情緒に溢れ、霧に煙る森はまるで東山魁夷の絵のようでした。フランス・スイス・ドイツと何度か国境を越えましたが、税関では停車することもパスポートの提示を求められることもなくあっさり通過。そして道路標識の色遣いと字体が変わってドイツ語に。スイスの公用語は独・仏・伊・ロマンシュ語と4つの言語があり、旅の間じゅう人々がごく普通に多言語を操ることに尊敬の念を抱いた私。それにしても、多言語国家が育む国民のアイデンティティって一体どうなっているんでしょう???

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ジュラ山脈とアルプス山脈の間に位置するベルンは、12世紀後半、ツァーリンゲン公によって築かれた要塞都市が、15世紀の大火で石造りの町へ再建された当時からの面影を残す美しい町。三方をアーレ川に囲まれ、上空からは島のように見える旧市街には、ヨーロッパ一長い石のアーケードが続いています。道路を走るトラムの赤と通りに点在する泉が風景にぬくもりを与え、窓から洩れる橙色の灯りのロマンチックなことといったら!
戦争による破壊を免れた永世中立国スイスの、先進国の首都とは思えない佇まいはさながら童話の世界でした。

Zentrum Paul Klee
上段: パウルクレーセンター Zentrum Paul Klee
下段: ヴィトラ・デザイン・ミュージアム Vitra Design Museum

今回の旅は、大自然と並んでスイスが誇る建築デザイン+美術館めぐり。ベルンでは、レンゾ・ピアノ設計のパウル・クレー・センターを訪れ、バーゼルでは、国際決済銀行(マリオ・ボッタ設計)や、バイエラー財団美術館(レンゾ・ピアノ設計)、市立美術館のクオリティの高さにも驚きました。バーゼルにほど近いドイツのヴァイル・アム・ラインでは、モダンデザインの殿堂、ヴィトラ・デザイン・ミュージアム(ヘルツォーク&ド・ムーロン、フランク・ゲーリー他設計)の広大なキャンパスで安藤忠雄やザハ・ハディド作品を鑑賞。なんとフィンランドの建築家アルヴァ・アアルトの企画展が開催中という幸運にも恵まれた濃厚な旅になりました。



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世界のアートが集結!国際連合ジュネーブ事務局(国連欧州本部)  

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右下:ダニエル・ベルセによる彫刻 “Broken Chair”
右上:現在105歳のスイス人芸術家ハンス・エルニの壁画 “LA PAIX(平和)2009”

町の中心部からトラムで10分。ジュネーブをコスモポリタン都市たらしめる国連とその専門機関は、広々とした緑のなかに点在していました。万国旗が並ぶエントランスと向かい合うようにしてそびえるのは、壊れた椅子の巨大彫刻 “Broken Chair”。脚が1本失われた椅子には、地雷やクラスター爆弾廃絶への願いが込められています。

第二次大戦後の1945年10月、国際平和と安全の維持、国際協力の達成のために設立された国際連合(United Nations)。本部であるニューヨークに次ぐ規模を誇るのがこのジュネーブ事務局(欧州本部)です。1920年に国際連合の前身である国際連盟がこの地に本部を定めてから100年近い歳月が経とうとしています。

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レマン湖とスイスアルプスを望む白亜のアールデコ建築、パレ・デ・ナシオン。

パレ・デ・ナシオン(Palais des Nations)と呼ばれる事務局内部の見学はガイドツアーによってのみ可能です。約45分のツアーは国連の役割や活動についてだけでなく、各国から集まった絵画や彫刻などの芸術品や建築についても学べるたいへん有意義なものでした。

同時通訳機能を備えた30以上のカンファランスルーム(座席数8,500以上)を持つパレ・デ・ナシオンの装飾や調度品は、古くは国際連盟、そして現在の国際連合の加盟国から贈られたもの。ところ狭しと並べられた美術品には、寄贈した国の名前と寄贈年が記され、国連の歩みを示す美術館のようでもあります。日本からは何が贈られたのか質問してみたところ、カーペットとの答えが。残念ながら見ることはできませんでしたが、ガイドさんはどんな質問にも答えてくれるので、予習をしていくとさらに楽しめそう。ちなみに、国連の敷地内はスイスの領土ではなくインターナショナル・ゾーン。仮にこの場所で事件が発生しても、スイスの法律で裁くことはできません。
◆ パレ・デ・ナシオン ヴァーチャルツアー

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見学のハイライトはこのふたつの会議場。
左は、人権理事会に関する会議などが開かれるSALL XX(Salle des Droits de l'Homme et de l'Alliance des Civilisations)。スペインを代表する現代アーティスト、ミケル・バルセロ(Miquel Barcelo)による天井装飾のあまりの斬新さに見上げたついでに開いた口がなかなか元に戻りませんでした・・洞窟、海、星空と新しい惑星を表現した1,000㎡のドームは、2008年にフアン・カルロス1世とソフィア王妃列席のもと完成式が行われました。1970年代にこの天井装飾はマルク・シャガールにオファーされたものの健康上の理由で断られた経緯を踏まえてか、どことなく色遣いがシャガール的。
ル・モンド紙ではこの天井装飾をUFO(未確認飛行物体)と表現しています^^
◆ Miquel Barcelo, un "ovni" à Genève 2008.11.17 Le Monde

そして写真右側、こちらもスペインの壁画家ホセ・マリア・セルト(1874-1945 Josep Maria Sert)によるゴールドと黒が重厚な趣を与えるカンファランスルーム。国際連盟の時代に描かれた発展と平和を希求する人類の姿には普遍的な力づよいメッセージを感じました。5つの大陸を表現した右上の5人の巨人は、第二次大戦の勃発を防ぐことはできなかったけれど、それこそが人類であり、負の歴史を踏まえて前進することの困難と意義をこの壁画は語り続けてゆくのでしょう。

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いい記念になった国連マーク入り通行バッジ(グループに1名発行)
入館に際してのセキュリティチェックは空港並みでした。

The United Nations Office at Geneva (UNOG)
Palais des Nations, 1211 Geneva 10, Switzerland

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