アートをめぐる旅

パリ・ワシントンDCで暮らした共働きの転勤族が、歴史・文化・芸術・自然をめぐる旅をしています。

祝!世界遺産 ル・コルビュジエ建築 ~ノートルダム・デュ・オー礼拝堂(ロンシャン礼拝堂)  

2016年7月17日、ル・コルビュジエの7か国17作品が世界遺産に登録されました。
本記事もアクセス上昇中につき、加筆・再掲載いたします。
(本掲載日は2014年7月8日)
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週末を利用して、パリから東南東へ約420km、フランシュ・コンテ地方オート・ソーヌ県の町ロンシャンにあるノートルダム・デュ・オー礼拝堂に行ってきました。小高い丘の上にあると聞いていたけれど、正しくは山の上。周辺には民家も見当たりません。(併設の修道院には人がお住まいです。)

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1955年に完成した空に浮かぶ船のようなこの教会は、近代建築の巨匠ル・コルビュジエ(Le Corbusier 1887-1965)の後期の作品です。1925年完成のラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸や1931年完成のサヴォワ邸に見られるようなシンプルな四角い箱のピュリスム建築とは一線を画した、彫刻作品のような奔放なフォルムです。みずから絵も描き、彫刻も手掛けるコルビュジエならではの独創性が爆発しています。一度見たら忘れられないこの姿。実物が目に飛び込んできたときの感動といったら!

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聖母マリアに捧げられたこの教会の起源は古く、中世の時代から聖なる巡礼の地とされてきました。礼拝堂の歴史に残る大規模な巡礼が行われたのは1873年、普仏戦争でプロイセン王国にアルザス=ロレーヌ地方を奪われた悲しみのなか、3万人の人々がこの場所で祈りを捧げたそうです。ロンシャンが国境に近い町であることを実感させられるエピソードです。

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南側入口の扉は、コルビュジエの下絵をもとに七宝焼きで仕上げられた芸術品。

その後、1944年に戦争による被害を受けた建物は、ル・コルビュジエの設計によりまったく新しく生まれ変わります。建築家選定は難航し、プロテスタントの家庭に育ったコルビュジエがカトリック教会を設計することについても批判が噴出。着工までの道のりは平坦ではありませんでしたが、現在では世界中から年間65,000人が訪れる宗教と建築の聖地となりました。

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左: 屋外に祭壇を設けることで大人数での野外ミサが可能に。
右: 敷地の北東角には、ピラミッド型の戦没者慰霊碑(平和のモニュメント)が。

驚いたのは、白い漆喰の壁とコンクリート打ちっぱなしの屋根の間に採光のための隙間が設けられていること。そこからの自然光と、不揃いのステンドグラスの窓から差す光とが、内部を幻想的に彩ります。(内部は撮影禁止)今まで見たどんな宗教建築とも違う、素朴な温かさと気高さが共にある空間。コルビュジエの人となりもきっとこんな風だったのだろうと、ステンドグラスに描かれた建築家の手書き文字を見ていて思いました。

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2005年には、礼拝堂の竣工から50年を記念して、チケットオフィスと修道院の建て替えを含めた周辺環境の整備が、イタリアの建築家レンゾ・ピアノのデザインによって行われました。(2011年完了)パリのポンピドゥーセンター、関西国際空港ターミナルビルなどを設計したピアノの光溢れる建築も見どころのひとつです。

Notre-Dame du Haut
13 rue de la Chapelle Ronchamp

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さて、今夜の宿があるディジョン(Dijon)までは約180km!この地方特産のコンテチーズをつくる茶色の牛モンベリアードを横目に、豊かな農地をひた走ります^^

【 ル・コルビュジエ関連記事 】
・【パリ近郊】憧れのコルビュジエ建築 サヴォワ邸 Villa Savoye
・【パリ16区】ル・コルビュジエ建築 ラ・ロッシュ = ジャンヌレ邸
・観たい映画 “L'Homme d'à côté ル・コルビュジエの家”
・ル・コルビュジエの休暇小屋 ロクブリュヌ・カップ・マルタン(1)
・ル・コルビュジエの休暇小屋 ロクブリュヌ・カップ・マルタン(2)
・ル・コルビュジエの墓所 ロクブリュヌ・カップ・マルタン(3)
・没後50年、ポンピドゥーセンターでル・コルビュジエ展



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2018年末、パリに現代美術館がオープン。手がけるのは安藤忠雄とあの人  

本業の昼間のお勤めに新展開を迎え、ご無沙汰していました。
↓↓↓こちらの記事は“cafeglobe”に掲載中♪


“パリ商工会議所にピノー氏のコレクションを迎え入れることは、パリにとって喜びであり誇り”
記者会見中のパリ市長アンヌ・イダルゴ氏



グッチ、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガなど、そうそうたるブランドを擁するフランスの企業グループ、ケリング創業者フランソワ・ピノー氏が、パリの中心部に現代アートの美術館をオープンする計画を進めています。

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ルーヴル美術館

場所はルーヴル美術館から歩いて10分とかからないパリ1区。18世紀に建てられたパリ商工会議所の円形の建物が、建築家安藤忠雄によって改装され美術館に生まれ変わる予定です。すぐ隣には、この春改装を終えたばかりの大型ショッピングモール、フォーラム・デザールのスタイリッシュな外観が輝き、その東には国立近代美術館が入るポンピドゥーセンターが。

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ポンピドゥーセンター

オープン予定は2018年末とのことですが、スケジュール通りには運ばないのがフランス流。事実、2005年にはセーヌ川中洲のスガン島に建設予定だったピノー氏の現代美術館計画が頓挫し、コンペで選ばれた安藤忠雄の「水上の宇宙船」構想は幻に終わりました。

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ヴェネツィア

ですがその直後、水の都ヴェネツィアに舞台を移して、相次ぎ2つの現代美術館がオープン。貴族の館を改装したパラッツォ・グラッシと、中世の港湾施設を改装したプンタ・デッラ・ドガーナはどちらもピノー氏と「世界の安藤」が手を組んで成功させました。いわばリベンジマッチともいえる今回の計画、いやがうえにも期待は高まります。

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フォンダシオン・ルイ・ヴィトン

パリの新美術館といえば、2014年秋にフランク・ゲーリー建築で話題になったルイ・ヴィトン財団美術館が記憶に新しいところですが、オーナーのベルナール・アルノー氏はピノー氏の長年のビジネスライバル。今夏80才を迎えるピノー氏にとっては悲願の美術館計画といえるでしょう。一代で巨万の富を築きあげたピノー氏はまた、美術品オークションハウス、クリスティーズのオーナーでもあり、世界のアートシーンに多大な影響力を持つコレクターとしても名を馳せています。

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オルセー美術館

ルーヴル、オルセー、ポンピドゥーセンターとパリ三大美術館をめぐったあとで、ピノー氏の新美術館に立ち寄れば、古代から現代に至る美の系譜を体感できることでしょう。そう、ファラオの棺だってサメのホルマリン漬けだって、世相を映すアートであることに限りない自由を感じられる、はず!?

≪参考記事≫
la « Pinault Collection » prendra place fin 2018 à la Bourse du commerce de Paris Les Échos 2016.4.27

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